数学小噺 ~虚数

どうも。ブログを書くのが存外楽しくてアレでございますね。

今回は, タイトルにもある通り虚数について書いていこうかと思います。

そもそも虚数とは

虚数とはそもそも何なのかといいますと, 2乗すると負の値をとる数のことです。虚数単位iを使えば
i^2 = -1
i = √(-1)
と表すことができます。

虚数は現実世界には存在し得ない数値です。なぜそう言切れるかといいますと, 逆に現実世界に存在しうる数を実数(2とか5/4とか0.0314とか)といいますが,
1^2 = 1
(-1)^2 = 1
この2式から分かる通り, 2乗して譜の値をとる実数が存在し得ないからです*1
じゃあこの虚数という概念, 何故生まれたかって, 恐らく当時の数学者たちは"あると(便利そうだから/楽しそうだから)"と答えると思います。言うなれば, 彼奴らのエゴによって生まれた楽しい概念です。

複素数複素平面(ガウス平面)

複素数

実数と虚数を+(-)で繋いであげると複素数というものになります*2。例えばこんな感じ:
1 + i
で, こいつを平面状に表したものが所謂ガウス平面なのですが, 突拍子もなく発生した表記ではありません。スゴイカラクリがあるのです。

天才ガウスの考え

数直線, 皆さんも小学生の頃やりましたよね。それを思い浮かべてください。
今, 数直線は0からうがーっと正の実数方向に伸びています。
これを負の数まで拡張してあげたいのですが, ガウス先生がどう考えたかといいますと, "-1をかける"という操作を"0を原点とした円に沿って点を1/2だけ回転させる"としたのです。
こうしてあげると, 0の左側に0からの距離が同じ点ができましたね。これで負の数まで拡張できました。

さて, ここから更に虚数まで拡張してみます。ここで虚数単位iの定義を再確認すると, "2乗する(=2回かける)と-1になる数"でしたね。





...そうです。先程と同じように"0を原点とした円に沿って点を1/4だけ回転させる"とこの定義を満たす点がプロットできますね。
この操作を色んな実数にしてあげると, 0の点のところに, 最初の数直線に対してスケールが同じで90°傾いた数直線ができますね。ここで, 最初の数直線を実数軸・新しい数直線を虚数軸としたとき, ガウス平面として複素数を平面状に表せるようになったわけです。

ここが嬉しいガウス平面

複素数の絶対値

ガウス平面によって平面上に複素数を表せるようになりました。そうすると何ができるようになるかといいますと, 複素数の絶対値を考えることができます。複素数a+biを考えたときに, R = a, i = b, R = ai = bの交点と原点を結んだ直線を考えましょう。よく見ると, 見えてきませんか? アレ。



直角三角形がありますね。そうすると原点から伸ばした直線の長さlは, ピタゴラスの定理(三平方ともいう)で次のように求まります。
|l| = √(a^2 + b^2)*3
ここで, l = √(a^2 + b^2)と解が変わらない式があります。
|l'| = √(a^2 - b^2)
|l''| = √(-a^2 + b^2)
|l'''| = √(-a^2 - b^2)
この3つですね。それぞれを複素数表示するとこうなります。
a - bi
-a - bi
-a - bi
この内, 実部(つまり実数の部分)が同じものどうしを共役複素数といいます。
つまり, a+bia - biは共役複素数ってワケですね。

ガウス平面と三角関数

ガウス平面は円を使ってできました。つまり, 複素数三角関数を適用できるのです。
実数軸を横軸, 虚数軸を縦軸にとってあげると,
R = cos(θ)
i = sin(θ)
とできちゃうワケですね。

この考え方, 現在私が専攻している電気にも多大なる影響を与えていて, 電流や電圧の進み具合をフェーザという形でガウス平面上に表せたりしている, スバラシイ考え方なのです。

えっ, これで終わるつもりなんですか

長々と虚数ガウス平面の面白さについて語らせてもらいました。虚数は, 数学を面白くする概念の1つとして非常に興味深いですね。

今後もこういう数学小噺をしていこうかなーなんて思っています。

...図はまた今度追加しておきますね。

参考文献

・新基礎数学(著:高遠節夫 他5名 大日本図書より)
・浜村渚の計算ノート 8さつめ 虚数じかけの夏みかん(著:青柳碧人 講談社より)



オマケ

なんでこんなブログタイトルなのか, ですか? それは...なんででしょうかね。たぶん私の戯言なんて実数軸に置いておくまでもないんでしょう。

*1:ここで1に如何なる実数をかけても, 符号は変わらないですよね

*2:"複素数"と聞くと, 1と自分でしか割切れない"素数"がイメージ的に先行するかもしれませんが, "「複」数の要「素」を持つ「数」"なので複素数と呼ばれます。たぶん

*3:|で囲ってあげると, 中身の絶対値という意味になります